ミッドタウン喜扇亭で食べた安田牧場「認定近江牛」の話

食事における満足度は、やっぱり情報が重要だと改めて気づかされた。
ただただ漠然と食べて美味しいと感じることももちろんある。でもそこに食材のストーリーという最高のスパイスが加わることで、感じられる多幸感がまるで違う。
いかにこの目の前の皿の一品がどんな思いでどうやって作られたか。知れば知るほどしっかりと味って食べたくなるからね。

人形町今半の鉄板焼き 喜扇亭

この日は六本木ミッドタウンにある人形町今半の鉄板焼き業態である喜扇亭での食事会だ。
喜扇亭(きせんてい)。変わった名前だけど、その店名の由来は明治〜昭和の名席、浪曲寄席「喜扇亭」から。その建物を改装し、開業したのが人形町今半本店。
今半本店の1Fにある鉄板焼きスタイルのお店が喜扇亭。ミッドタウンはその支店というわけだ。
とにかく肉がうまくて、すき焼きとしゃぶしゃぶの印象が強い人形町今半だけど、その今半が経営している鉄板焼き屋。美味しくないわけがないので、実は今日伺うのはとても楽しみだったんだ。

純近江牛を生産する安田牧場

そして今日食べることになるのは近江牛を生産している安田牧場の認定近江牛のお肉。
一般的に近江牛と言われるものの中でも、特に品質が高いお肉のこと。
実は今回の食事会は滋賀県からわざわざ安田良治氏が六本木までいらっしゃってくれたため、本当に豪華で楽しいひと時を過ごすことができた。

純近江牛 安田牧場の安田良治氏

純近江牛 安田牧場の安田良治氏

ちなみにマニアックな話だけど、和牛の肥育期間というのは年々短くしようと企業努力している生産者が多い。
肥育期間が伸びれば伸びるほど、コストがかかってしまい、リスクも増加する。そのため、いかに効率的に早く牛を太らせて出荷できるようにするかが日々研究されてる。
肥育期間が短いのに枝肉重量を増やして肉質がなるべく低下しないように生産者は努力しているわけだ。
ところが、この安田牧場では全く逆のアプローチをしていて、肥育期間は基本は36ヶ月以上。(通常は30ヶ月未満で出荷されることが多いし、早いところでは24-25ヶ月位)
今回僕らが食べさせてもらったお肉はなんと46ヶ月。牧場には種牛までいる。現在の畜産の業界からしたらかなり特殊なことを行っている非常にいい意味で変態的な生産者が安田さんだ。
「もう食べれへんっていう美味しいお肉を作りたい」と語っていた安田氏がとても印象的だった。

安田牧場近江牛食事会

今回は人形町今半の高岡さんがうっかり安田さんの近江牛を購入したことから、有志で集まってお肉を食べようというとなってこの食事会が開催されることになった。飲食業界の重鎮はじめ凄い方達の末席に加えてもらえたのが実に嬉しい。

 

場所は喜扇亭のミッドタウン店。元々きてみたかったお店なのも嬉しい限り。

湯霜作り 牛握り寿司

まずはいきなりお肉だ。それもお肉の旨味がしっかりわかるような状態での提供。

湯霜作りのお刺身で素晴らしい口溶けのよさと、しっとりとしてざらつきがないお肉の旨味を感じる。美味だ。
この10倍は食べれそうなほど。

続いて牛握り寿司。

炙りと湯引きで。
シャリとの一体感でさらに味わい深くてとっても美味。もう美味しいしか出てこない。
初っ端の一品で今日のコースを期待させてくれつつ、この近江牛の旨味がいきなりがっつり引き出されていてテンション上がりまくりなのだ。

牛みぞれ掛けと香草クレープ

続いて人形町今半らしい和のテイストがしっかり感じ感じられる爽やかなみぞれ掛け。お出汁がとっても美味しくてお肉と一緒に一気に流し込むと幸せなひと時。

脂が強い部位は食べやすいように細く切ってパクチーで。手焼きのカオヤーピン(北京ダックの皮)風のものに包んで食べると肉の強い脂をパクチーの爽やかさで綺麗さっぱりしてくれる。
余韻には肉の甘味がしっかり残ってとっても好きな一品。

すき焼き

人形町今半といえばすき焼きだ。そして、高岡さん曰く、近江牛が一番美味しいのはすき焼きとのことで一気にテンションが上がる。
お肉はサーロイン。手切りのため、かなり分厚めのカット。にもかかわらず、めちゃくちゃ食べやすい!あり期待のセリフしか出てこない自分の語弊力が悲しくなる。柔らかい。甘い。美味。しか出てこない。

長ネギ、オクラ、豆腐と言ったお肉以外の素材もしっかり美味しくて、焼豆腐は特に美味。

いろどりサラダ

ここでやっと箸が休まった感があるサラダ。

バルサミコ酢がいい感じ。箸休めと思いきや、思いの外サラダが美味しくて箸は休まらず。

焼き野菜

とってもとっても美味しかった那須。
そして甘味がしっかりの皮付きのヤングコーン。

新じゃがガレットは初めて食べるかんじ。食感が好き。

ステーキ

さて、いよいよステーキが登場だ。
サーロインにヒレの3種食べ比べ。
まずはサーロインからいただいたんだけど、脂が多いから自身の脂で表面が揚げられるように焼かれる、鉄板焼きならではのカリッとした食感が楽しめてとっても美味。
ガーリックとの相性もば抜群だ。

ヒレは先ずはテート(ヒレの頭の部分)から。
柔らかくて旨味がすごいし、とっても繊細な口溶けの良さ。

続いてフィレ。柔らかさと甘さのバランスが実にちょうど良くてシルクのような上質な旨味。
そして最後はシャトーブリアン。
食べた瞬間の柔らかさと香りの良さはさすがの一言。咀嚼すると広がる旨味に大満足だ。

食事

南高梅のソテーライス、赤出汁、香の物。

いい感じのお肉の脂とさっぱりさせてくれる南高梅の風味がとっても美味しいご飯で〆。
最後のお米がおいしいとコース料理がしっかりしまる。少し濃いめの赤出汁の味噌汁もこの流れでいただくとちょうど良く感じる。

デザート

柚子のシャーベットとシャインマスカット。

最後は今年初のシャインマスカットと上品な柚子のシャーベットで。

喜扇亭 六本木ミッドタウン

やっぱり情報っていうのは最高のスパイスの一つだ。
カウンターで寿司や鉄板焼きを食べながらシェフに料理の説明をしてもらったらやっぱり美味しい。そこに生産者まで加わったんだから鬼に金棒だよね。
肥育期間46ヶ月。419キロ。12日のつるし。11キロものヒレ肉が取れて高岡さん曰く「最近の牛の中で最も歩留まりがよかった」という認定近江牛はとっても美味しかった。安田さんのお肉はもちろんだけど、喜扇亭のお肉を生かす調理があってこそとも言える。
大満足だったのだが、安田氏曰く「今日のお肉は70点くらいの出来」とのこと。
これで70点。一体どこを目指しているんだろう。
安田さんのお肉をもっともっと食べたくなったんだ。いつか滋賀まで行ってみたくなったよ。

鉄板焼ステーキ 喜扇亭 東京ミッドタウン店
03-5413-7988
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア ガーデンテラス 3F
https://tabelog.com/tokyo/A1307/A130701/13037362/

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