西麻布の赤のれんで博多ラーメンを食べた話

西麻布の交差点から六本木方面に坂を登り、交番を過ぎた右側。
昭和53年創業の博多麺房 赤のれん 西麻布本店は久々に伺っても変わらぬ様相だった。

14時ちょっと前くらい。扉を開けると満席で、ほんの少し待たされた。一人だったけど、カウンターが満席で通された4人席のテーブルに座ったタイミングで、突如20年近く昔の記憶が蘇った。

当時サラリーマンだった僕は、上司の部長と一緒に西麻布のお客様のところに営業に出かけていた。
茶髪で長髪(今もか。)、そして新人1年目なのにダブルのスーツを来ていた僕は、部長とはもう何十年もの付き合いだというお客様に「見た目がだらしない」と詰られていた。
夏の盛だったのだと思う。確か7月も終わり頃だ。
「暑苦しいから髪も切りなさい。」
そんなことも言われていた気がする。
普段はあまり凹まない僕だけど、あまりにもしつこく言われたものだから多少顔に疲労が浮かんでいたのだろう。

「ラーメンでも食べに行くか。」

そう言って部長に連れて行ってもらったのが赤のれんだった。時刻は14時ちょっと前くらい。
「味が濃いからよ。一回食べるとしばらく食べたくなくなるんだよ。」
そういって普段はラーメンなんて食べないもう50半ばの部長は、僕に気遣って昔好きだったというラーメン屋に連れてきてくれたのだ。

今思えば、部長は僕の見た目ではない場所で評価してくれていた数少ない50代のビジネスパーソンだったと思う。
そしてその頃の僕はあまりにも無知だった。
今みたいに金髪にしたり好きな格好をしたりと、自由に自己表現をするためにはそれなりにスキルや経験が必要で根拠のない自信だけでは、社会で通用しないことを知らなかった。

結果的に暫くの間、僕は髪も切らないし茶髪だし相変わらずダブルのスーツをきていただけど、部長に容姿面での小言を言われたことは一度もなかったと思う。本当にありがたい話だ。

とにかく、そうやって僕は西麻布の老舗の博多ラーメン赤のれんデビューを果たすことになる。そして今、そうだ。あれは2001年のはずだ。だから18年前と同じ椅子に座っている。

ラーメンの味は少し変わったかもしれないけどベースは変わらない。

一口スープを啜ると懐かしい味わいがした。
その後も何度かお店には来ているのに一度昔のことを思い出すととめどなくあの頃の思い出が蘇ってくる。

まるで懐かしい音楽を聞いて青春時代を思い出したかのような感覚になる。

その後も定期的に赤のれんには部長と来た記憶がよみがえる。
そういえばあの頃はチャーシュー麺は(値段が高いから遠慮して)頼めなかった。
ランチセットは明太子ご飯と高菜ご飯でいつも迷っていた。

麺はやや平打のストレート麺。
もちろんスープとの相性はバッチリで美味。

少し食べてから思い出した。
そうだ。ここは胡麻をするんだ

白ごまをこれでもかっていうくらいすってかける。
また味わいが変化する。

ラーメンはその店舗ごとにある味変まで含めて魅力の一つだと改めて思わされる白胡麻の風味。

明太子ご飯を頼んだので替え玉は流石にしなかったけど、一人ラーメンでノスタルジーに浸ってた僕はこころもお腹も満腹だった。

ごちそうさまでした。久しぶりに部長に連絡をとってみようかな。

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