初夏を告げる旬の食材「シンコ」の話 〜価格・相場・寿司屋での食べ方〜

寿司屋に馴染みがある人なら、初夏の訪れを告げる食材の代名詞といえばシンコをあげる人が多いだろう。
他にもアオリイカや、鮎、生雲丹、鱧やマコカレイといった初夏を告げる食材もあるけど、シンコはやっぱり格別だよね。

熟成寿司専門店 優雅でお寿司のコース

船橋にある熟成寿司専門店優雅。実はこのお店は僕がオーナーをしているお店だ。
元々寝かせの文化を持つ江戸前寿司。さらに熟成を追求して旨味成分であるイノシン酸を増やしたのが優雅の熟成寿司だ。
氷温熟成、エイジングシート、熟成専用の冷蔵庫の三段階熟成での熟成で、マグロを中心に熟成寿司を提供している。

もちろん食材は旬の食材を中心に。
マグロは口当たりがいいミルフィーユ状に三段に重ねたお寿司だ。
この日は雲丹とマグロのおはぎ。

マグロはもちろん熟成だから、旨味たっぷりなのだ。

シンコ(新子)

さて今日の主役のシンコだ。
ご存知かなり小さい。
シンコはシンコ→コハダ→コノシロと大きさによって名称が変わる出世魚。
いや、逆出世魚だ。何故なら大きくなるほど値段が安くなるのだから、一番価格が高いのはまだまだ稚魚の状態のシンコの時で一匹の体長はわずか4-5センチ。
もちろん小さいといっても一匹の魚なので、一匹の仕込みにかかる手間は大きい魚と一緒。
だから何枚も付けるシンコのお寿司はすごく仕込みに手間がかかるんだ。

そして、最近ではシンコが特別な理由はこれだけじゃないんだよね。
いわゆる初物と言われるその年で、一番最初にシンコが売り出される時期にはものすごく高い値段がつく。
場合によっては1キロで10万円を超える年も珍しくないのがシンコなんだ。
シンコは大体100グラムで12-14匹くらい。
つまり、一匹に4枚付けたとしたら、原価1万円で3貫しかとれないんだ。本マグロや雲丹によりも高い物凄い原価だ。
それでも初物にはそれだけの価値があるからのこの価格。そして、手間もものすごくかかるという寿司屋らしくもあり、寿司屋泣かせのネタでもあるんだ。

ちなみに優雅ではタイミングが合うお客様にはシンコの骨を素揚げしてお出ししているんだけど、この骨からもシンコがいかに小さく、そして仕込みが大変なのかが伝わるかも。
ちなみにシンコ。もちろん価格は時間が経つと落ち着いてくる。
落ち着いてくると同時に大きさは7センチ以上になって名称もコハダに変わるんだけど、落ち着いたコハダの価格は1キロ2000円前後が大体の相場だよ。
味は大抵の場合は酢でシンプルに〆てあるので、さっぱりとした爽やかな旨味が口の中に広がるよ。

熟成寿司専門店 優雅

船橋にある熟成寿司専門店優雅は熟成させることで魚が持つ旨味(イノシン酸)をしっかりと引き出したお店だ。
旨味が強くなったネタに合うように作られた赤酢のシャリと、三段階熟成の熟成手法で独自の熟成方法のお寿司を楽しめる。
コースは8000円と12000円の2種類。
僕が経営しているお店なので、手前味噌なんだけどお寿司好きな方は是非一度入ってみて欲しいお店だ。

熟成寿司専門店 優雅
050-5595-4701
千葉県船橋市本町1-11-21
https://tabelog.com/chiba/A1202/A120201/12041079/

関連記事

  1. 最も魚が無い時期でもちゃんと美味しかった鮨しゅんじの話

  2. 西麻布の鮨 有無で食べた松茸のお寿司の話

  3. 手巻き寿司とオススメの具材(ネタ)とか楽しみ方の話

  4. やっぱり美味しい寿し処 寿々 (すず) で食べたお寿司の話

  5. 創作鉄板 粉者で「シャトーブリアン&厳選牛弁当」をテイクアウトした話

  6. 鮨さいとうで食べたお寿司の話

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


たわら屋のローストビーフ