温度の物語 – 日本一のマルゲリータと薪釜の話 by Perte(ペルテ)× 門崎熟成肉

「今日は温度の物語のお話です。」

と、会の冒頭で株式会社門崎の千葉社長が・・・いや、格之進の肉おじさんが語り出した。なんと大げさな。とその時は思ってしまったが、後に「温度の物語」というのに納得することになる。

そう。今日のテーマは温度。
今日は薪窯の秘密を学びながら日本一のピッツァを食べ、格之進のお肉を食べて焼成の分析を研究する会なのだ。

Perte(ペルテ)

会が行われたのは2019年の4月にオープンしたばかりの千葉県は稲毛にあるピザのお店。「Perte(ペルテ)」だ。イタリア語で「(親愛なる)あなたへ」と行った意味のお店でご夫婦で経営されているこちらのお店にはぴったりの名前。

真のナポリピッツァ協会認定の人気店「アミーチ」で統括ピッツァ職人として活躍し、2018年のナポリピッツァ職人世界選手権「カプートカップ」日本大会ではSTG(メイン)部門で日本チャンピオンになった。
公式サイトにある日本一のマルゲリータとイタリア料理という看板は大げさでもなんでもなく、名実ともに。というわけ。

日本一のマルゲリータ

さて、メインのお肉の前に早速 Perte の料理を頂く。

白インゲン豆のカラスミかけ、かなり大ぶりのアサリのワイン蒸し、フォッカッチャ。どれも美味だ。

そして、500点満点中500点で日本一になったというマルゲリータはやはり美味しかった。
今まで食べたマルゲリータの中で一番おいしかったと断言できる。2日熟成させたという生地は驚くほど舌触りが滑らかで薄くてふわっとしている。
生地自体からも強い旨味が感じられる。
そして、チーズの質も量も素晴らしくて少し時間が経ってもチーズがしっかりとトロけて美味なのだ。もちろん熱々がベストなのは言うまでもない。

都内からでもわざわざ稲毛まで来る価値があるピザだと強く感じた。

続いてマストゥニコーラ。ラルド(豚の脂)と生地を味わうピザなのだが、マルゲリータとは違い生地がクリスピーのような生地。同じタネを使っているとは思えない生地の変化は職人のなせる技なのかもしれない。
鉄板のクアトロフォルマッジョはこれまたおきまりの蜂蜜をかけて。美味しくないはずがない逸品だ。
実際この時点でお腹もそこそこ膨れてきたし、結構な満足度。「もう今日はこれで満足」という雰囲気も微かに流れる中、本日のメインの登場だ。

お肉と薪釜と温度

本日のラインナップはホルスタイン去勢を冷燻した薫格肉。経産牛のヒレとサーロインの芯、そして骨付きミスジの熟成肉というラインナップ。

サーロインの芯にしっかりと動線をセッティング。
まるで理科の実験のよう。

熱伝導で温度を測定。ちょっと見えずらいけど、導線が肉に刺さっているのがわかるはず。
こうやってお肉にどうやって熱が伝わっていくかの測定を行う。

さらにはサーモグラフィーで温度を可視化する機械とさっと表面の温度を測れる機械まであって準備は万端。
(このさっと測れる機械が個人的に欲しいけど、焼肉屋でこんな機械で温度計測しながらお肉焼いてたら周りからドン引き間違いないだろうな。)

ちなみに薪釜は近赤外線と、輻射熱から来る遠赤外線が外からも中からもしっかり熱を通して素早く焼いてくれる。釜の中の熱源は900度位まで上がるらしい。

ぐんぐんと上がる熱源近くの温度と、ほとんど上がらない内側の温度。
熱源に近い肉の側面は100度近くまでいっているけど中はまだ35度くらい。
あとは余熱で・・・となって釜の外側に肉を置くと外側の温度は徐々に下がっていき、じっくり10分近くかけて中は余熱で60度過ぎまで上昇。
(余談だけど牛肉の脂肪融点は40度〜50度くらい。松坂牛のような脂たっぷりの黒毛和牛は17度くらい。)

肉おじさんの水風船理論を体現したかのようなぷっくりと膨らんで肉汁が詰まった塊肉が綺麗に焼かれて完成。

もちろん味は美味だ。

続いてヒレ。薫格。骨つきのミスジと頂くが、驚くべきはミスジの美味さだ。

すでに何度か食べたことはあるが、やはり美味い。
独特の熟成香と甘みと香り。熟成されたチーズのような濃厚な旨味となんとも言えない風味はこの骨つきのミスジならではの美味しさ。
生ハムのようなニュアンスも持っていて、複雑味溢れていくつも表情を変えてくれるその美味しさはなかなかうまく言葉には出来ない。
クアトロフォルマッジの時に余っていた蜂蜜をミスジにかけて食べている人がいたので、真似をすると驚くほど美味だった。
まるでゴルゴンゾーラのような濃厚な旨味があるお肉だからこそ蜂蜜との相性がいいのかもしれない。

温度の物語

薪釜という特殊な釜の面白さや奥深さを知るとてもいい機会だった。
炉内の対流熱や輻射熱もあって釜の中でも大きく温度差があり、薪釜で美味しいピッツァを焼けるのはまさに職人技なのだと改めて感じた。

また、日本一のマルゲリータを焼くPerte(ペルテ)の鈴川さんの言葉が印象的だった。

「ちゃんと測ってみると自分が想像していた温度とは少し違う」

なるほど。日本一の職人だって、もしかしたらもっと美味しいピッツァを焼けるのかもしれない。

やっぱ料理の世界は面白く、こんなにも奥深い。
貴重な会に参加させていたいたことに本当に感謝しつつ、口の中は微かにまだミスジ肉の余韻が残っていたのだった。

ペルテ
043-386-3702
千葉県千葉市稲毛区小仲台2-12-15
https://tabelog.com/chiba/A1201/A120104/12046318/

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