3年連続ミシュランも納得の石垣吉田で鉄板料理?を食べた話

鉄板を囲むように設置された席に着くと、店主の吉田さんはとても人の良さそうな笑顔で言った。

「うちは鉄板焼きではありませんから。」

料理の枠にとらわれず、様々な料理に挑戦するということで、麻布十番にある石垣吉田は2018年から鉄板焼きのお店からイノベーティブにジャンルを変更した。
ご存知の通り、料理にはジャンルがある。
フランス料理、トルコ料理、中華料理、インド料理、イタリア料理が世界5大料理と言われているが、世の中には国や地域、文化に影響を受けた様々なジャンルの料理がある。
イノベーティブとはそう言ったジャンルに影響を受けず独創的で新しい視点で料理を作るスタイルのお店だ。

石垣吉田

お店のしつらえや、調度品の数々まで細かいこだわりが感じられる店内の雰囲気はまさにイノベーションそのもの。
オープンキッチン。すぐ目の前に広がる鉄板と、名前入りのメニューブックとこれから始まる料理の数々にいやが応にも期待してしまうのだ。

黒アワビ

一品目は黒アワビ。
佐渡の海洋深層水でコンディションを整えた極上黒鮑 肝ソース 追い鱧パスタという名前の通り確かに極上の黒鮑。肝ソースはまろやかで口当たりがよく、鮑の肝の苦味がとても上品に変化していた。

この肝のソースを死ぬほどたっぷりつけて贅沢にいただきたい気持ちを残しつつ、「肝ソースはのこしておいてください。」の一言が。

ソースを残した理由はこちら。グルテンフリーのパスタの原料は鱧だ。
有明の海苔の香りがほのかに香り、食べると鱧の旨味がグッと口の中に広がる。追いかけて改めて鮑の肝ソースの味わいが口の中を整えてくれる。

これは美味だ。

雲丹のスクランブルエッグ

実は、事前に調べた情報でお肉よりも楽しみにしていたのがこちらのメニューだ。
なんてったってウニヌマさんと呼ばれるほどの無類の雲丹好き。

この時期になると、漁師だった祖父が採って来てくれた雲丹を祖母と母親が雲殻剥きをしている光景を今でも思いだす。
思い出補正も入っていることもあってあの時食べた雲丹が人生で最高に美味しい雲丹だった。
まだトゲが動いている雲丹の殻をお皿代わりにして雲丹をスプーンですくってひたすら食べた。今思えばあの頃は今よりもたくさん雲丹がとれた。

さて、石垣吉田の雲丹のスクランブルエッグ。まずは調理前に食材を見せてくれる。オーストラリア産黒トリュフに、生うに。

どちらも美味しそうだ。
雲丹はなんと2種類使う。下がいわゆる甘みが強いタイプの赤うに。上に乗っているのはスッキリして海の味わいが感じられる白うに。

オーストラリア産黒トリュフの高貴な香りを楽しみながらスプーンにすくって口に運ぶととてつもない複雑味のある味わいが口の中に広がった。
トリュフの香りと食感。旨味。雲丹の甘味は2種類の雲丹を使っているからなのか、甘みと海の味わいが多重層のように襲ってくる。
だが、この料理のすごいところはまだまだだ。

自家製のパンはほのかにまだ熱さが残るいい塩梅。これにスクランブルエッグとトリュフをたっぷり付けていただくと、パンのカリッとした食感と甘さが元々の美味さにプラスされてとてつもなく美味になる。
雲丹を作った創作料理は数々食べてきたけど、この料理が一番美味しいと思った。
今、思い出すだけで口の中が幸せになりそうだ。

毛蟹飯蒸し、唐墨

実はもう満足していた。2品目にしてメインを食べ終えた気分になれた。
けど、まだまだ石垣吉田は止まらない。
お米にの上に毛蟹。そして唐墨。

美味しくないわけないじゃないか。という和テイストの組み合わせの一品は甘くて、適度に塩っぱくて僅かに苦味と酸味があって美味しくいただけた。
毛蟹と唐墨はこんなに相性がいいのは知らなかった。

石垣島 きたうち牧場 プレミアムビーフ(サーロイン)

さて、お待ちかねのお肉は石垣島のきたうち牧場にあるプレミアムビーフだ。所謂、石垣牛とは違うものである。

きたうち牧場では全頭メス牛。出荷月齢36ヶ月以上(通常29ヶ月)、こだわりの餌とたっぷりの愛情を持って育てられた牛を育てている。
これが黒毛和牛のサーロイン!?と思ってしまうほど綺麗な赤身と繊細なサシの入り方は中々独特。繊細で非常に扱いが難しいお肉だと吉田氏は言う。

究極のクリスピー焼き

外はカリッと。中はじゅわ。よく聞く。本当に色んなところでよく聞く。

クリスピー焼きはまさにそんな風にお肉を美味しくしようと言う焼き方の一つだ。
実はお肉はコース料理が始まる前に拝見させてもらった。

そして「まだまだメインのお肉には早いですよ。」と、思わず言いたくなるくらいかなり早い段階から鉄板の上でお肉を焼き始める。
お肉はうっすらと少しずつゆっくりに焼き目がついていく。低音でゆっくりゆっくり。本当に時間をかけて焼くのだ。
2時間近くかけて丁寧に焼かれたお肉は夏場だからということでバターを多めに。
お肉に関わる方なら知っている話だけど、夏場は牛が水分を多く取るためお肉がどうしても水っぽくなる。あえてお肉の旬をあげるとすれば冬の方が美味いのだ。
そのための対策として焼き方を少し変えてくれているのをしっかりとカウンター越しで説明してくれた。

お肉はまさにクリスピー。
外はカリッとした食感。内側はシルキーで柔らかい。
サーロイン。でも赤身肉のような見た目と食べるとわかる柔らかさと複雑な肉自体の旨味と甘み。熟成肉を食べているかのような和牛香がとても心地よい。

付け合わせは塩、わさび、ニンニクたれ、梅ダレ。
どれも美味しいためあの手この手とたれのを変えて味わいの変化を楽しむ。

色々なお肉の表情の変化が楽しめて、とても大満足なメイン料理だった。

アオザメの尾ひれを使ったフカヒレラーメン

〆の一品はフカヒレラーメンだ。

上品なフカヒレの風味が口の中で広がる。
それでいて濃厚なのはお出汁の複雑味からくるものか。なかなかにこだわりの逸品だ。

美味。

〆のスイーツと飲み物

パッションフルーツのクリームブリュレ 自家製ココナッツジェラート

スイーツがそこまで好きではない僕でも十分に楽しめた。
自家製のココナッツジェラートは普通の専門店より格段に美味しいし、シナモンティーはほのかな甘さと苦味がマッチしていて実に好みの味わいだ。

控えめに言って最高の食事

色々なお店に伺ってきましたが、控えめに言って最高の食事を頂いた。
料理は全てお任せで 35,000円。サービス料が別で10%。ドリンクを入れたら50000円くらいにはなるし、もっと贅沢(ワインはもちろん、食材もグレードアップしてくれるみたいだ)しようとすれば単価はもっと上がるだろう。
だけど、控えめに言って最高に美味しい食事を堪能することができた。
誕生日、記念日、誰かを喜ばせたい時にまた利用したいお店だ。

石垣吉田
03-6435-3747
東京都港区麻布十番2-8-10 パティオ麻布十番 3F
https://tabelog.com/tokyo/A1307/A130702/13152618/

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