過去の記事(2016年まで)

僕たちは文化にお金を払っている。

Written by Kazuya Akanuma

シンコのお寿司。

1貫2400円。貴方は食べる?食べない?

「シンコを食べないと江戸っ子は夏を迎えられないよ。」

かつてはこう言われていた時期があったという。出生魚であるシンコはシンコ→コハダ→ナカズミ→コノシロと名前を変えながら市場での価値は下がっていく。

小さい時ほど価値が高い逆出世魚だ。

市場に出回るのは夏の1ヶ月位。季節は夏。6月下旬くらいから築地にでまわりはじめ、いわゆる「ハツモノ」は1キロあたり10万円を超えることもある。

1キロあたり120匹から130匹くらいだ。

つまり、わずか3センチから5センチの魚が1匹1000円近くするという恐ろしい高値をつけることがあるのだ。シンコはマグロの大トロよりもタイミングによってはキロあたりで遥かに高い値がつく。

もちろん小さな魚であるために、職人の仕事もかなり繊細。わずか4cm程度の小魚を一匹一匹丁寧に下処理していくという気の遠くなる作業をすることになるのだ。

実際に弊社で経営しているすし優雅の大将、蟹澤のシンコの仕込み風景を見てもらうと、その手間と繊細さが伝わってくると思う。

元々の値段の高さ。そして仕込みにかかる手間。どうしても価格が高くなってしまう。それでもやはりこの値がつくのはこの値で買う人がいるからだ。

味は青魚特有の臭みがなくサッパリとしていて脂も少なめ。つまり、仕込んだ人の塩加減、酢の〆具合などの仕事がダイレクトに反映されるので、お店によって味が全く違う。
江戸前寿司の腕の見せ所がシンコと言ってもいいくらいだ。
そのシンコを寿司1貫に4匹とかサイズによっては6匹とかをつける。口の中にシンコの旨味。つまりそのお店の味がしっかりと広がる。
シンコやコハダはだからお店の味をはかるためのバロメーターとも言えるかもしれない。

前置きが長くなってしまった。

では、このシンコの寿司。もちろん時価だ。今なら優雅で1貫2400円で食べることが出来る。

では、どんな人が食べるのだろう?お金持ち?物好き?シンコ好き?

いや、違うと思う。

僕らは2400円を支払って文化を食べているんだ。

「あぁ今年もシンコが入ったね。夏になるね。暑くなるね。」

っていうのをシンコを通じて知るんだ。そういう文化にお金を払うんだよね。

結婚式、恵方巻き、正月、クリスマス、七夕、最近じゃハロウィンもか。

とにかく数え上げればきりがない和洋折衷いろんな文化があって、八百万の神のごとくいろんな文化を柔軟に受け入れられる日本人だから持てる感覚があるのかもしれない。

僕らは江戸前の寿司文化にお金を払ってるんだ。

寿司を通じて、四季や、歴史、文化を感じてるんだ。だから値段なんて関係ないんだね。

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あぁ。美味しいなぁ。

え?ちょっと食べてみたくなったって?文化を感じてみたくなった人は優雅にGOだ!

今の時期しか食べれないシンコを食べて江戸前寿司の文化を感じてほしいな。

すし優雅

About the author

Kazuya Akanuma

株式会社BNF 代表取締役
株式会社ブレインネット 取締役
ITの会社と、Cafe&BARとお寿司屋さんを経営中。